2024年7月5日~
現在、予約システムのメンテナンス中のためWeb予約を承れません。
お電話にてご予約をお願いいたします。
また、予約システムの再開には数日かかる場合もございます。
ご迷惑をおかけいたしますが何卒宜しくお願い致します。
【鹿教湯温泉 斎藤ホテル】公式HPはこちらから
https://www.saito-hotel.co.jp/
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この7月11日・20日に、「シャトー・メルシャン 椀子(まりこ) ワイナリー」とのコラボレーション企画を予定しています。
ワイナリーとのコラボレーション企画は、私が長年思い描いていた夢でした。1回目は2023年に小諸市のマンズワイン小諸ワイナリーとタッグを組み、おかげさまでお客様からたいへん好評をいただきました。2回目となる今回は、斎藤ホテルと同じ上田市内にあるシャトー・メルシャン 椀子 ワイナリーとのコラボレーションです。
2003年にメルシャン株式会社がこの地でワイン用ブトウを栽培しワインを醸造する計画を発表したときから、このワインと地元の食事を鹿教湯温泉で楽しんでいただくことができれば良いなあ、と妄想を膨らませていました。
椀子ワイナリーは、国産高級ワインブランドとして1970年に誕生した「シャトー・メルシャン」3つ目のワイナリーです。ワイン用ブドウの適地として選定されたのは上田市丸子地区陣場台地。ワイナリーの名は丸子町の古代名を冠しています。
2006年には、私も所属していた鹿教湯温泉の青年部がワイン用ブトウの収穫とランチ体験のツアーを企画したこともありました。数年間、秋の収穫シーズンには同様のツアーを開催してきましたが、人手や予算の問題で、2010年以降は休止となりました。
その間も椀子ワイナリーは製造努力により品質を向上させ、2011年には世界のトップワイナリー20に名前があがるようになりました。また醸造されるワインも日本のコンクールで毎年のように受賞するなど、世界品質のワインを生産し続けています。
また、この上田地域周辺では毎年のようにワイナリーができて、品質の高いワインを生産する一大産地に育っています。
ワインのつくり手は努力と競争でしのぎを削り、日々努力をかさねているのに対して、それに見合う料理の提供は追いついているとは言えない状況が続いていました。ワイン産業の急激な立ち上がりに比して、料理文化の構築が追いついていなかったのです。
生産されるワインは高品質なものが多いため、料理やしつらえもそれに負けないクオリティが求められます。料理界に詳しい先輩によると、レストランで料理とワインを楽しむとなると値段は半分半分。料理は1万円を超えます。この地域で、この値段でワインと合う料理を出すレストランは存在していませんでした。
椀子ワイナリーができたときに、将来はそういったレストランが鹿教湯にあったらいいなと思っていましたが、1万円を超える料理の提供は雲を掴むような、私には関係ない世界の話だと思い込んでいました。当時は他に優先する課題があって、とてもそんなことを考えている余裕もなかったのです。
その後も、斎藤ホテルとして独自に椀子ワイナリーの収穫体験ツアーなどを行い、細々と関係を維持してきました。
転機は2020年に始まったコロナ禍でした。もちろん経営は大きな打撃を受けましたが、同時に将来を考え、計画を練る時間を与えてくれました。コロナはいつか収束する。今こそその時に向けての投資のチャンスだと、勇気を振り絞り「Restaurant溪」を開業しました。
今回のツアーは、斎藤駕籠屋のバスを利用します。お客様を上田駅から椀子ワイナリーへお連れしてワイナリーとブドウ畑を見学していただき、それからRestaurant溪でお食事を楽しんでいただく流れです。
椀子ワイナリーでは、ブドウ畑や製造工場を工場長自ら案内してくれます。気候の特徴や品種、栽培方法、醸造方法などのレクチャーは、ワインについて全く知識のない方でも楽しめる内容になっています。数種類のワインの試飲もご用意しています。その後バスで移動し、Restaurant溪にて今回のために特別に組んだコースを味わっていただくディナータイムへ。ペアリングされるのはもちろん椀子ワイナリーで生産されたワインです。
地元の素材を使った“信州フレンチ”とワインを、地元の景色と現代のしつらえのなかで楽しむ。まさに自分が思い描いていた夢を、お客様に体験していただけるようになりました。
20年の構想が実ったツアーですので、多くの方に参加していただければ幸いです。
*イベント詳細のお問い合わせ、お申し込みはお電話にてお願いいたします。電話0268-44-2211(受付時間9:30~18:00)
*定員に達した場合はご容赦ください。次の機会をお待ちいただけますようお願い申し上げます。
「信州産の器を使いたい」という思いから出合った2人と1組の作家さん、2回目にご紹介するのは坪内真弓さんです。
鹿教湯温泉からほど近い「信州の鎌倉」ともいわれる別所温泉に工房を構え、陶芸教室なども行っている作家さんです。身近な作家さんでありながら、知ったきっかけはSNSで偶然目にした器でした。
坪内さんとコンタクトをとり、お話をするために上田市保野(ほや)にある工房を訪ねました。
市街地の見慣れた景色の中を進み、メインの通りを少し外れたところに坪内さんの工房はありました。
広々とした工房内には製作中の作品や色見本等が並び、どこか学校の美術室を思い出させるようでした。窓からは田園風景と別所温泉の山々が見え、近くには小川も流れ、季節によって様々な野鳥が顔をのぞかせるのどかな風景が広がります。
作品棚の一角にはクマやウサギ、鳥など動物をモチーフにした可愛いらしい作品がずらっと並びます。一つ一つ手書きされたモチーフは絵本の世界から出てきたような愛らしさです。
こちらの作品はコロナ禍以降にECショップで商品を購入する人が増えたことに注目し、一目見て印象に残るかわいらしいものをと考え制作を始めたそうです。
坪内さんは様々な作風を持つと同時に、器などのクラフトの他に陶芸による立体造形作品も制作・出展しています。器とはまた異なる力強い作品を拝見した時は、全く違った印象にとても驚かされました。
最初にお会いした時はこちらもまだメニュー開発の最中だったため、「Restaurant溪」のコンセプトをお伝えしていきました。食材はもちろん建材や設えに至るまで信州産にこだわる「信州のおもてなし」という思いがあること、そして坪内さんの作品の中にイメージする物が今回のコンセプトに近いものがあることをお伝えしてきながら制作が始まりました。
器から造形作品まで幅広い作風を持つ坪内さんに、2種類のフラットプレートを制作していただきました。
一つ目は独特な肌感と模様のある器です。信楽の赤土釉薬を塗り、さらにその上から溶かした白土を薬藁で作った刷毛で薄く塗っているお皿です。釉薬のかかり方によって赤味の強弱と光沢感が生まれ、白土でできた刷毛目によって木の年輪のような美しい模様が生まれます。まるで森の大木を思い起こさせる作品です。
もう一枚は先ほどとはうって変わって、模様の無い、漆黒のお皿です。黒い土の上から黒い釉薬を掛けて焼くことで深い黒と艶のあるお皿に仕上がります。落ち着いた輝きの黒さは月明りに照らされた鹿教湯の森や山を連想させます。ライトに照らされると銀色に輝き、使っていくうちにしっとりとした肌感となっていきます。
この漆黒のお皿は焼いたときにできる「ピンホール」と呼ばれる穴が目立つため、いかにこれを少なくしていくか、どの程度までをよしとするか非常に悩まれたそうです。結果として4回焼成を重ねてようやく満足のいく出来になったとお話してくれました。
どちらのお皿も試行錯誤を繰り返し、約1年かけて完成しました。こちら要望を出した「底面がフラット」で「28センチの平皿」というのは、先にご紹介した立川さん同様に難しさを感じていたそうです。燥段階でゆがみやひび割れが生じてしまうため1cm単位で細かな調整を繰り返すことで完成に至ったとのことでした。
お話の最後に陶芸の魅力についてお伺いしました。
「陶芸は窯に入れしたあとは火にゆだねる。自分の手から離れたところで完結するのが面白い」
そう語る坪内さん。
デザイン性と偶然性から生まれる自然のエネルギーと地の食材が合わさった一皿から、信州の物語を感じて頂けたらと思います。
*「器のこと ~第1回 立川玄八さんのこと」はこちらから
多くの会社には経営の根っことして経理理念が存在しています。
約30年前、私が26歳で斎藤ホテルに入社した年に、400年前に遡る地域とともに歩んだ旅館の歴史や、創業した当時に思いを馳せながら理念を言葉にしました。
「もんじゅ、かしわば、おもてなし」。この呪文のようなひらがなの単純な3つの言葉が、斎藤ホテルの経営理念です。
「もんじゅ」は文殊堂の「文殊」からきています。文殊堂は内村川の渓谷を挟んで斎藤ホテルの対岸の森に鎮座しています。県宝にも指定されているお堂は、地域経済の繁栄を願って元禄時代に村人がお金を出し合って建立したものだと聞いています。
今の時代に同じ建物をつくるならば、おそらく数億円の費用がかかるだろう一大工事。小さな村でどうやってその費用を工面したのか興味があるところです。元禄時代はちょうど日本の人口が増加し、平成のバブル期のように景気が良い時期があったのかもしれません。
いずれにしても村人がお金を出し合って建立し、時代の移り変わりを乗り切って地域の宝物として営々と営みを継続してきたお堂には間違いなく、私のご先祖も少なからず費用を出したに違いありません。
当社の経営理念の「もんじゅ」は、文殊堂を村人たちの手で建立し、維持してきた歴史を表現しています。文殊堂を大切にしてきたそれぞれの時代の地域住民の団結や、地域への想いは、地域に貢献し、地域とともに歩んでいこうという気持ちが根底にあります。その気概を弊社も引き継いでいきたいという意志が込められています。
また、祀られている文殊菩薩は「三人寄れば文殊の知恵」と言われるように「知恵」をつかさどる菩薩様です。お客様に喜んでいただくためには「知恵」が必要です。よい知恵を得るには良い知識が必要で、知識を得るには常に勉強をしていなくてはいけません。
社員が常に学び、最新の情報を入手し、考え、そして得た知識や知見を仲間と共有し、話し合い、「知恵」に昇華して、お客様が満足してよろこんでくださる具体的なサービスにつなげていく――その営みを大切にしたいという思いを表現しています。
400年以上前の昔から旅館を営んできた斎藤家の家紋は「ちがいかしわ」。かしわの木は常緑樹で、つねに葉が茂っているように見えます。しかし、ひとつの葉がずっと緑でいるわけでなく、古くなるといつの間にか新しい葉に入れ替わり、常に新陳代謝を繰り返します。
「かしわば」は、代々歴史をつないでいくなかで、常にその時代に合った新しいものを取り入れ、変化を重ねながらも永続していく企業を表現しています。
変化を恐れず、新しいことにチャレンジする一方で、代々受け継いできた根幹の部分は変えることなく、しっかりと根を張る。そういう企業でありたいという願いが込められています。
斎藤ホテルの「おもてなし」のコンセプトは、「一客再来」です。一度訪れていただいたお客様が何度も訪れたくなるような接客を目指しています。
繰り返し斎藤ホテルを訪れて滞在していただくことで、お客様の健康づくりのお手伝いをさせていただきたいと考えているからです。
また、リハビリを目的とした身体の不自由な方も多くいらっしゃいます。「見守り」「寄り添い」「共感」も日々私たちが心掛けているおもてなしです。杖を突いた方や車いすの方の不安を想像して共感し、お困りのことがないか常に見守り、必要であれば寄り添ってお手伝いをさせていただくよう心掛けています。
「もんじゅ、かしわば、おもてなし」
この理念を全社員で共有して、企業の文化として定着させるよう日々努めています。単純な言葉ですが徹底するのはやはり至難の業だと、日々感じています。
少しでも理念に近づき、より良いホテルになれるよう、これからも皆で努力していきます。